結婚相談所の倒産は増えている?公的データで読み解く業界の実態
「結婚相談所 倒産 一覧」という検索結果を眺めていると、業界全体が崩れかけているように見えてきます。閉鎖した相談所の名前が次々と並ぶからです。しかし、感覚だけで判断するのは危険です。実際の件数はどれくらいなのか。増えているとしたらどの程度なのか。そして、その背景で何が起きているのか。
この記事では厚労省や帝国データバンクの情報をもとに、結婚相談所業界の実態を数字で確認していきます。個別の社名を追うよりも、全体像をつかんだほうが冷静な判断ができます。

目次
倒産件数は過去最多を記録している
まず結論から示します。結婚相談所の倒産は実際に増えています。
帝国データバンクが2024年2月6日に公表した調査によると、2023年の結婚相談所の倒産件数は11件でした。年間で10件を超えたのはこのときが初めてです。つまり過去最多の更新ということになります。
さらに同じ2023年には、休廃業と解散が11件ありました。こちらも過去最多の水準です。倒産と合わせると、20件を超える相談所が市場から姿を消した計算になります。
この数字を見る限り、業界が厳しい局面に入っているのは間違いありません。倒産一覧の記事が検索されるようになった背景には、こうした実態があります。
ネットで見かける「22件」という数字の正体
ここで注意しておきたい点があります。インターネット上では「結婚相談所の倒産が22件」という表現を見かけることがあります。しかしこの数字は正確ではありません。
22件という数字は、倒産の11件と休廃業・解散の11件を足したものです。両者はまったく別の事象を指します。倒産は支払いが行き詰まって事業を続けられなくなった状態です。休廃業や解散は、経営者が自らの判断で事業をたたむ選択です。後者には、後継者がいないという理由や、他の事業に集中するという理由も含まれます。
会員への影響という観点でも、この2つは大きく違います。倒産では前払いした料金の返金がきわめて難しくなります。自主的な廃業であれば、返金や引き継ぎに対応してもらえる可能性が残ります。
だからこそ、数字を見るときは何を数えた数字なのかを必ず確認してください。合算した数値だけが独り歩きすると、実態より深刻に見えてしまいます。
件数の絶対値は業界規模から見て大きくない
もうひとつ冷静に見ておきたい点があります。年間11件という数字そのものの重みです。
飲食業や建設業の倒産件数は年間で数百件から数千件の規模になります。それと比べれば、結婚相談所の11件は決して大きな数字ではありません。過去最多という表現のインパクトは強いものの、業界が一斉に崩壊しているわけではないのです。
ただし、この数字には見えにくい部分もあります。倒産統計が対象にするのは主に法人です。結婚相談所には個人事業として運営されている小規模な事業者が数多くあります。こうした事業者が静かに店を閉じても、倒産統計には載りません。連盟への加盟をやめただけという形で終わるケースもあります。
つまり、公表されている件数は市場から退出した事業者の一部にすぎません。実際の退出はもっと多いと見ておいたほうが実態に近くなります。
婚姻件数は2年連続で増えている
次に市場そのものの動きを確認します。ここには意外な事実があります。
厚生労働省の人口動態統計によると、婚姻件数は長期的に減少してきました。2019年は59万9,007組でした。それが2020年に52万5,507組へ落ち込み、2021年は50万1,138組となります。2022年は50万4,930組とわずかに持ち直しましたが、2023年は47万4,717組まで減りました。前年比で6.0パーセントの減少です。
ところが、その後の動きは違います。2024年の婚姻件数は48万5,092組でした。そして2025年は48万9,119組です。婚姻率も4.0から4.1へ上昇しました。2年続けて増加しているのです。
結婚する人の数は、少なくとも足元では減っていません。むしろ底を打って回復に向かっています。

市場が回復しても相談所が苦しい理由
ここが今回のデータで最も重要なポイントです。
婚姻件数が2年連続で増えているにもかかわらず、結婚相談所の経営環境は改善していません。この事実は何を意味するのでしょうか。答えは単純です。「結婚する人が減ったから相談所が潰れた」という説明では足りないということです。
変わったのは結婚する人の数ではありません。出会う場所です。
明治安田生命が2023年10月に実施した調査では、過去1年以内に結婚した夫婦のうち約25パーセントがマッチングアプリを利用していました。4組に1組の割合です。利用した理由としては「手軽に出会えるから」と「職場に出会いがないから」がいずれも46.7パーセントで並びました。
結婚したい人は今も存在しています。ただ、その人たちが向かう先が相談所からアプリへ移りました。同じパイを奪い合う構図のなかで、配分が変わったのです。相談所の苦戦はこの配分の変化によるものです。
この見方に立つと、業界の今後も少し違って見えてきます。市場の消滅ではなく、選ばれる相談所と選ばれない相談所の二極化が進んでいるということです。
利用者としてこのデータをどう受け止めるか
ここまでの数字を踏まえて、実際に婚活をする立場で整理します。
まず、業界全体を過度に恐れる必要はありません。年間11件という倒産件数は、国内の相談所の総数から見れば限られた割合です。適切に運営されている相談所のほうが圧倒的に多いのが実情です。
ただし、淘汰が進んでいるのも確かです。だからこそ選ぶ側の目が問われます。特に注意したいのは、開業から間もない小規模な相談所です。連盟に加盟すれば比較的手軽に開業できるため、事業としての基盤が固まらないまま撤退する例があります。
逆に、長く続いている相談所は複数回の市場変動を乗り越えてきた実績があります。マッチングアプリの台頭という大きな地殻変動を経ても残っているという事実には、それなりの意味があります。
自分で最新の状況を確認する方法
統計は公表までに時間がかかります。特定の相談所について今の状況を知りたいときは、自分で調べる手段を持っておくと安心です。
ひとつは国税庁の法人番号公表サイトです。運営会社の法人格が存続しているか、本店所在地に変更がないかを無料で確認できます。所在地が短期間に何度も変わっている場合は慎重に見たほうがよいでしょう。
次に官報です。破産や民事再生の手続きが始まると官報に公告が載ります。インターネット版でも直近の情報を確認できます。
そして加盟連盟の会員検索です。多くの連盟は加盟店の一覧を公開しています。検討している相談所が今も掲載されているかどうかは、最も手軽に確認できる指標になります。
実際にどの相談所が閉鎖したのかについては、別の記事で一覧にまとめています。具体的な社名と経緯を知りたい方はあわせて確認してください。
数字が示しているのは選び方の重要性
ここまでのデータを振り返ります。倒産件数は過去最多を更新しました。婚姻件数は2年連続で増えています。そして結婚した4組に1組はマッチングアプリを使っていました。
この3つを並べると、業界の輪郭が見えてきます。結婚したい人はいます。しかし相談所は選ばれる存在であり続けるための競争にさらされています。その競争に対応できない事業者から順に市場を去っているのです。
利用者にとって必要なのは、業界を避けることではありません。競争を勝ち抜いている相談所を見極めることです。そのためには複数の相談所を実際に比べてみるのが近道になります。運営年数やサポート体制や料金の妥当性は、資料を並べれば違いがはっきりします。
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